トルコリラ 地獄

トルコリラ保有者に訪れた地獄って何?今後のトルコリラの展望も詳しく解説

FXブログ

|2019.04.05

トルコ共和国は、アジアとヨーロッパ、2つの州にまたがる国で、東側ではイラクやイラン、シリアなどの、また西側ではギリシャやブルガリアと接しています。
イスタンブールやカッパドキアなどの観光地や、世界三大料理に数えられるトルコ料理などでも有名ですよね。

しかし、2018年8月、そんなトルコ共和国の通貨「トルコリラ」に地獄とも言うべき大事件が起こります。

今回は、トルコリラの大暴落について説明するとともに、今後のトルコリラの展望から、トルコリラへの投資のメリット・デメリットまで解説していきたいと思います。

トルコリラの大暴落

2018年にトルコリラを襲った地獄のような大暴落とは、どういった事態だったのでしょうか。

投資家を襲った地獄!トルコリラの暴落

2018年8月、トルコリラは急激に暴落しました。
元々、1トルコリラ=23円前後で推移していたものが、8月10日に米国トランプ大統領がトルコへの関税引き上げを表明したことがきっかけとなり、一時、1トルコリラ=15円台まで下落しました。

日本経済新聞(電子版)では、2018年8月13日に、「トルコ危機、個人に波及 債券・投信で含み損も」と報道されました。

この急激な大暴落を受けて、トルコ国内はもとより、周辺各国や世界中の投資家が大打撃を受けてしまいました。
日本国内でも、トルコリラを保有していた多くのFX投資家が、この大暴落でかなりの損失に見舞われたようです。

トルコリラの暴落の理由

では、一体なぜトルコリラはそれほど急激に暴落してしまったのでしょうか。
暴落の原因は次のようなものがあります。

まず、直接的な原因です。

2018年8月10日、トランプ大統領は、トルコに対して鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を引き上げるという経済制裁を課すと表明しました。
これは、アメリカ人のアンドリュー・ブランソン牧師がトルコで軟禁された事件を受けたものです。
この事件が起こる前から、アメリカとトルコの関係は良好とは言い難く、牧師軟禁をきっかけに一気に表面化したという側面もあります。
ちなみに、2018年10月12日にこの牧師は解放されたため、アメリカとトルコの間の対立関係はいくらか和らぎました。

しかし、アメリカによる経済制裁だけが、トルコリラの大暴落の原因ではありません。
経済制裁ほど直接的ではなくとも、間接的に影響した要素がいくつかあります。

 

①インフレ率の高さ
経済的には発展途上であるトルコでは、輸出の増加、インフラ整備への投資などが要因で、インフレ率が高いという状態にありました。
インフレが進めばモノの値段は上がりますが、反対に通貨の価値は下がります。

 

②エルドアン大統領の存在
エルドアン大統領は、非常に強い権限を持ち、トルコの独裁者的存在です。
一般的に、インフレ率が高すぎる場合は抑えようとするのですが、エルドアン大統領は、インフレが進むのを止めようとはしませんでした。
また、エルドアン大統領の政治方針も、対米関係悪化の一因と目されています。

 

③信用低下
ここまで挙げた、①インフレ率の高さ、②エルドアン大統領の経済政策などが理由で、トルコという国の信用は低下してしまいました。
実際に、ムーディーズやS&Pといった格付会社も、トルコのインフレ率には懸念を示し、トルコの信用度を低く評価していました。
こうして国全体の信用が減ったトルコは、海外からの投資が集まりにくくなっていました。

こうした様々な理由から、トルコリラ自体、元々、下落傾向にありました。
実際に、2017年には1トルコリラ=30円前後で推移していましたが、2018年7月には1トルコリラ=約23円まで変動していました。

そうした状況で、牧師軟禁事件米国の経済制裁表明が引き金を引き、トルコリラの大暴落は発生してしまったのです。

トルコリラの最安値

こうした原因から、大暴落したトルコリラは2018年8月に、一時1トルコリラ=15.40円という最安値を記録しました。
しかし、いくらインフレ率が高いなど通貨価値が下がる要因があるとはいえど、この大暴落はあまりに下がりすぎました。
その後、多少回復した2019年3月現在では、1トルコリラ=20円前後となっています。

トルコリラの今後の展望

2018年8月10日、トルコリラは米国トランプ大統領が経済制裁を課したことで暴落しました。
1トルコリラ=15.40円の最安値と比較すれば、現在は20円前後と多少回復したようにも見えますが、旧暴落以前の為替レート(1トルコリラ=約23円)に比べれば、以前低いと言えるでしょう。

では、トルコリラは今後どのような展望を見せるのでしょうか
ここでは、トルコ情勢とトルコリラの今後について考えていきたいと思います

トルコ情勢

まず、トルコリラの大暴落の直接的な原因となってしまった、米国人牧師の軟禁事件についてです。
こちらは先ほども説明したように、2018年10月12日に牧師が解放されたことで、決着を見せました。
そのため、経済制裁を課すほど悪化した、アメリカとトルコの関係は和らぎました。
これは、トルコとトルコリラにとっては、良い兆候といえるでしょう。

そして、テロなどで悪化していた国内の治安もここ数年で回復し、外国人旅行者の数も増加の傾向にあります。

また、トルコ国内の経済政策という面では、高いインフレ率に対する対策が取られています。
中央銀行が金融引き締めを行い、金利を上げ、トルコリラの価値を高めようとしています。
しかし、エルドアン大統領がこれに反対しているのです。

トルコリラの今後

トルコとアメリカの対立が収まり、中央銀行の金融引き締めがさらに進んだ場合は、トルコリラが上昇する可能性もあります。
実際に、2018年9月13日に中央銀行が、政策金利を17.75%から24%に引き上げた際には、トルコリラも上昇しました。
ちなみにこの政策金利というのは、中央銀行が一般銀行に対して融資する際の金利のことを意味します。

中央銀行のこうした方針が続けば、トルコリラにとっても明るい展望が待っているかもしれません。

しかし、エルドアン大統領が中央銀行の金融引き締めに反対しているというマイナス要因も存在します。

よって、トルコリラの今後の展望は、政策金利の上昇によって上昇することが予想されるものの、下げ止まらず、さらに下落してしまう可能性も存在するという結論に落ち着きそうです。

2019年3月末には、トルコとアメリカの関係が再び悪化したことに影響され、トルコリラは再び急落しました。

これを受けて日本経済新聞でも、「トルコ、通貨危機の再燃も=対米関係懸念でリラ急落」と報じられています。

スワップポイント投資の対象として魅力的な一方でハイリスクと認識されていたトルコリラですが、その不安材料が顕在化する形となってしまいました。

トルコリラと地獄の日々

トルコリラ運用を考えている方にとって、かなり参考になるあるブログを紹介したいと思います。

そのブログがこちらの「トルコリラと地獄の日々」です。

 

 

このブログでは、トルコリラ運用の手法や実績だけでなく、トルコ国内の情勢や今後の展望など様々な情報が解説されています。

具体的には、

このようにトルコの様々な指標をまとめたり、

 

最近のできごとをまとめたり、

といった形で投資家にとって役立つ情報をゲットすることができるブログとなっています。

トルコリラを保有している方や、今後手を出そうと思っている方にとっては、素晴らし情報源となるはずです。
ぜひ、参考にしてみてください。

ちなみに、このブログを運営しているのは、「大王@トルコリラと地獄の日々」さんです。
Twitterでも、色々な情報を発信されているので気になる方は、フォローしてみてはいかがでしょうか。

これからのトルコリラ運用のメリット・デメリット

ここまで、2018年に起こった急暴落と、トルコリラの今後の展望について解説してきました。

ここからは、そんなトルコリラ運用のメリット・デメリットについて詳しく説明していきたいお思います。

メリット

まずは、トルコリラを保有するメリットを説明していきます。

①トルコリラの安値
2018年8月に、トルコリラの価値は一気に暴落しました。
また、それがなくても、インフレ率が高く、下落傾向にあったトルコリラは数年前に比べて、価値が大きく落ち込んでいます。
現に、2016年1月には1トルコリラ=39円台で取引されていたのにも関わらず、2019年3月時点では、1トルコリラ=20円台で取引されています。

安いタイミングで買った通貨を高くなってから売れば、当然ですが、資産は増えます。
政策金利が高く設定され、そろそろ上昇するのではないかとも目されているトルコリラは、安値の今なら保有するメリットがあるかもしれません。

 

②スワップポイント
トルコリラの最大の特徴は、政策金利の高さです。
トルコの中央銀行が設定している政策金利はなんと、24.00%です。
これは、他国の金利と比較してもかなりの高金利です。

2019年2月時点での各国の政策金利を表にまとめてみたので、参考にしてください。

国名/地域名通貨名政策金利
日本0.10%
アメリカドル2.50%
ヨーロッパユーロ0.00%
中国4.35%
メキシコペソ8.25%
南アフリカランド6.75%
トルコリラ24.00%

こうして並べてみると、トルコの金利の高さが際立ちますね。

こうした金利が高い通貨に投資した際に生まれるメリットこそが、「スワップポイント」です。
スワップポイントというのは、通貨間の金利調整額のことを指します。

金利が低い通貨で、金利が高い通貨を買うと、その差分に応じて、保有した日数ごとにスワップポイントというお金がもらえるのです。
ちなみに、金利が高い通貨で金利が低い通貨を買った場合は、逆にスワップポイントを支払わなければならないこともあるので気をつけてください。

今回のテーマであるトルコリラの特徴は、政策金利の高さにあります。
つまり、トルコリラを保有していれば、持っているだけで毎日スワップポイントがもらえるのです。
これこそが、トルコリラ運用の最大のメリットです。

トルコリラ保有でもらえるスワップポイントがどれくらいの額になるのかも一緒に説明したいと思います。

 

ちなみに、スワップポイントは利用しているFXの業者によっても異なるので、今回は、「LIGHT FX」というサービスを例にして説明しょうと思います。
LIGHT FX」の場合、10,000トルコリラを1日保有していると122円のスワップポイントがもらえます。
・自己資金20万円
・1トルコリラ=20円
・レバレッジ3倍
のケースでは、1日当たり366円、1年間保有し続けると133,590円のスワップポイントがもらえる計算になります。

 

ただ、保有しているだけで、自動的にこれだけのお金がもらえるのはとても嬉しいですよね。

トスコリラでスワップポイント生活!スワポ生活にはいくら投資が必要か?

デメリット

トルコリラの運用には、当然ですが、デメリットも存在します。

インフレやエルドアン大統領の政治方針などの不安材料から、トルコリラの下落が今後も続く可能性もあります。
そうした場合、トルコリラを保有していてもらえるスワップポイント以上の損失が生じてしまうかもしれません。
また、高い倍率のレバレッジをかけていると、ロスカットに陥る危険も存在します。

高金利で大きなスワップポイントが付与されるというリターンは、トルコリラの下落の危険度というリスクとセットであるということには注意が必要です。

まとめ

2018年8月10日に、米国トランプ大統領がトルコに対しての経済制裁を課すと表明したことがきっかけでトルコリラは大暴落しました。
トルコリラの暴落は、トルコ国内や周辺諸国への影響のみにとどまらず、世界中の投資家たちも煽りを受けて大きな損失を負いました。

大暴落を経て、かなりの安値となったトルコリラは、今後の上昇を期待されている通貨です。
また、トルコの中央銀行が政策金利を24.00%に引き上げたことで、スワップポイント目的の運用でも注目を集めています。
もちろん、投資である以上、トルコリラの下落が止まらないというリスクもはらんではいます。
しかし、現在のトルコリラは、そうしたリスクに見合ったリターンが見込める通貨でもあります。
トルコリラ運用を検討してみてはいかがでしょうか。

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